オランダ 1 × 0 日本
負けるべくして負けた。
しかし勝つチャンスもあった。
それだけに悔しい。
でも負けはいつだって悔しくなければいけない。
ピンチは起こるべくして起きる。
チャンスもまたしかり。
サッカーの神様は嘘をつかない。
起こるべくして起きたピンチとチャンス、
悪かった点と良かった点を3つずつあげてみる。(めんどくさい具体的な内容なので読み飛ばしていただいてOKです)
先に良かった点。
1.
前半はオランダがボールを支配していたけど、試合を支配していたのは間違いなく日本だった。
カメルーン戦に続く粘り強い守備は、新生日本の誕生を予感させるものだった。
勝ちパターンのスタートラインを見つけることができた。強豪相手にも日本の組織力を持ってすれば勝つことができる。「我慢強く約束事を守り、相手の良さを徹底的に潰し、退屈な試合に持ち込めば日本の勝ち(笑)」と確信できるようになった。
闘莉王が言うように、下手糞は下手糞なりの戦い方をまず実践する。色気を出すのはこれからの課題で良い。色気を出すことばかりに気をとられていた日本サッカー界の目を覚まさせるきっかけになった。
2.
オランダの守備ラインとGKとの間で繰り返されるパス回しにむやみに食いつかなかったこと。
ネットをちらっと見たら、前線からボールを奪いにいかない本田や前線の選手を批判する声がチラホラあったけど、あそこでオランダの守備陣に食いついていたら、それこそオランダの思う壺。
オランダは日本が食いついてきて背後にスペースを空けるのをひたすら待っていたのだから、あそこで獲りに行かなかった日本の選択は正解。大正解。オランダは一向に食いついてこない日本にさぞイライラしたことだろう。
中盤の遠藤が「なぜか」食いついた謎のシーンがあったけど、それは悪いほうで書く。
でも前半の我慢比べは日本のほぼ完勝といっていいくらいだった。
これもまた、強豪といえど、一糸乱れぬ組織プレイの前には、なすすべも無いということの証明だった。日本が少しだけ賢くなった瞬間を見た。
3.
最後まで勝ちに行く姿勢を見せることができた。
トルシエをはじめ、世界の名だたる日本びいきの監督や評論家と、それに同調する日本の評論家らは、オランダ戦はいい意味で「捨てて」、デンマーク戦に賭けるべき、と勝点と得失点の計算の必要性を主張していた。
でもそれは日本には絶対にやってほしくなかった。たとえ世界の第一線の欧州のやり方がそうであっても、それに同調してはいけない。それは「日本らしくない」と思うから。
全力で勝ちに行くことが日本のポリシー、アイデンティティ、プライドであり、相手への敬意である。これはたとえ日本が強豪国になろうとも、変えてはいけないこと。これこそサムライであり、武士道であり、日本である。それを捨てたら、日本でもなんでもなくなる。そんな日本なら応援したいとは思わない。
悪かった事を3つ。
まだデンマーク戦があるのに、今はあまり書きたくはないけど、でもきちんと現実を直視するために、正直な感想を自分自身の未来に残すために書いておく。
1.
後半立ち上がりに、守備の意識が大きく乱れてしまった。
せっかく前半あれだけできたのに、水の泡にしてしまった。しっかり組織立って守備をすれば、どんな強豪にもチャンスを作らせない、それができるのに、まだ45分もあるのに継続できなかった。
でもこれはまだ目覚めたばかりの日本の守備意識だから、その意識を忘れずこれからも練習していけば、必ずもっと良くなっていく、そんなポジティブな課題だと思う。
2.
良かった点で書いたように、オランダの仕掛けた罠に“ほぼ”かからなかったことは素晴らしかったのに、どういうわけか、本当に、どういうわけか理解し難いシーンがあった。
中盤の遠藤が自分の持ち場を離れて、オランダの罠の中に単身プレスをかけに行く場面がそれだ。それは前半にも1度あったのだけど、後半にも修正されず、実際、遠藤がプレスに上がって空いた中盤の穴から、オランダの決定的チャンスが生まれてしまっていた。(起こるべくして起きた)
なぜ、チーム全体がオランダの罠に飛び込むまいと焦れずに我慢比べをしている中で、遠藤はこのようなプレーを繰り返してしまったのだろう。まったくもって理解不能な謎。
大会が終わったら、サッカーライターや評論家のみなさんには、是非ともこのことについて遠藤本人に聞いてみて欲しい。
ただ気になるのは、日本独特な考え方かもしれないけど、遠藤のようにプレスに行く選手を「ボールを奪いに行って頑張っている」と、逆に良い評価を与えてしまう風潮があること。もちろんこれは間違いなのだけど、評論家の中にもそんな人がいるし、遠藤だけでなく多くの日本人選手がやらかすミスでもある・・・。
これも日本らしさと言えばそうなのかもしれない。でもそれは、勝ちにいっているつもりでも、実際は自ら負けにいっている自爆行為だ。それをやっていいのは、どこまでもボールを追いかけ続けられる、岡野雅行だけだ(笑)。
3.
今のタイミングで個人批判はしたくない。でもわかりやすくがっかりさせられた選手だから、とくに名前を伏せる意味もない。
この試合で勝負をかけるにはここしかない、というタイミングで、岡田監督が賭けに出た。中村俊輔の投入。ここで監督がどんな想いで中村を送り出したか。彼にはわかっていなかった。
身体的、精神的コンディション不良、それを承知で起用した監督と、それによってベンチに残った控えの選手たちの気持ちを、しっかりと受け止めて、死ぬ気で奮起しなければならなかった。チームは中村俊輔を必要としていたのだから。
チーム全体が変わろうとしている。下手糞なりに、馬鹿なりに、身体と頭と心を使って大きく成長しようとしている時に(これは遠藤も含めてだ)、一人だけ取り残されていた。
コンディションも、上手いも下手も関係ない。自分への評価も、チームへの評価も関係ない。ただチームの勝利の為に!その強い意志が感じられなかった。本当に、残念だ。
周りが自分に合わせてくれるのを待っている選手は、もうこの日本代表には必要ない。
また必要とされる選手になる為には、周りが変わるのではなく、まず自分が変わらなければいけない。
■
カメルーン戦、オランダ戦と、良さも悪さもあった。勝ちも負けもした。
だけど日本は確実に、新たな一歩を踏み出す瞬間に直面している。
やっと勝ちに行く日本が戻ってきた。そして勝利の方程式の解き方を、ひとつ、手に入れようとしている。思考停止に陥っていた日本サッカーの、時計の針が動き出した。
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